『組織科学』57巻3号に論文「ダイバーシティ部署の設置は企業の女性管理職比率を高めるか?」が掲載されました。

要約

本論文は,ダイバーシティ推進を目的とする部署の設置が,企業の女性管理職比率を高めているかを,国内大企業のパネルデータを用いて検証したものである.分析の結果,時代効果を考慮すると,部署の設置が女性管理職比率を平均的に高めているとはいえなかった.一方で,女性役員比率が一定の水準よりも高くなると,部署の設置が女性管理職比率を有意に高める効果が確認された.

国内大企業によるダイバーシティ部署(多様な人材の能力活用・登用を目的とした専任部署)の設置が、その後の女性管理職比率を高めているかどうかを、東洋経済新報社が提供するCSRデータ(雇用・人材活用編)を用いて定量的に検討した論文です。同様の検討は、F. Dobbin や A.Kalev が米国企業を対象に行っており (e.g., Kalev et al., 2006)、彼らが検証している仮説の一部を、日本企業を対象に検討したものになります。

匿名の査読者の先生方にくわえ、シニアエディターの先生からのコメントのおかげで、論文の展開や論理構成が大幅に改善されました。とくに第Ⅱ節「先行研究の検討と仮説構築」は、投稿時から大幅に改稿され、問いに至る流れがよりスムーズになったと感じています。改めて感謝申し上げます。

現在は会員向けに早期公開用ファイルがjstageで公開されています。一般公開されましたら、リンクを更新する予定です。

カテゴリー: 研究